タランティーノ監督、「スーパーヒーロー映画だけは絶対にやらない」と断言

10月末に出版された自著「シネマ・スペキュレーション(原題)」の宣伝ツアーで米国内を周回中のクエンティン・タランティーノ監督が、米ロサンゼルス・タイムズ紙のインタビューでコミック原作のスーパーヒーロー映画を手がけることは断じてないと宣言した。

「シネマ・スペキュレーション(原題)」は、タランティーノ監督が映画に目覚めるきっかけとなった1970年代のアメリカ映画を中心に、映画評論に個人的な経験を交えた、映画史についてのユニークなノンフィクション本に仕上がっている。
タランティーノ監督はそのなかで、「1960年代の映画監督たちがメジャースタジオ製作によるミュージカル映画ブームの終焉に歓喜したように、今日のフィルムメーカーたちはスーパーヒーロー映画が廃れるときが来るのを、今か今かと待ちわびている」と綴っている。
タイムズ紙のインタビューでもその一節に触れ、「映画産業を完全に支配しているという点で、的確な例えだと思う」と語ったうえで、「マーベル映画を手がけるには、雇われ監督に成り下がらなきゃならない。僕は求職中の商業監督でも雇われ監督でもないからね」と、スーパーヒーロー映画でメガホンをとる可能性をキッパリ否定した。
タランティーノ監督がスーパーヒーロー映画を拒絶する背景には、雇われ監督になりたくないという一種のプライドに加えて、近年のハリウッド大作が好みではないという単純な理由もあるようだ。
「『スター・ウォーズ』はもちろん大好きだよ。嫌いな人なんてそもそもいないだろう。初めて映画館で見たときのことを今でも鮮明に覚えているよ。キャラクターと一緒に大冒険を繰り広げたかのようで、終わって劇場が明るくなってもまだ興奮が冷めなかった。これぞ最高の映画体験だって思ったものさ」と語るタランティーノ監督は、こう続ける。
「でも、僕が一番好きな類の映画かと言えば、そうじゃないんだ。どちらかというと『未知との遭遇』派だね。スピルバーグ監督はあの映画で、映画通だけじゃなく一般の観客にも理解できるよう壮大なアイデアとテーマを描いてみせた。あの映画のクライマックスに匹敵するものなどそうそうないと思うよ。心底衝撃を受けたからね」
第10作で映画監督を引退すると宣言しているタランティーノ監督が、監督第9作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のあとに手がける最後の1本に、ますます興味が湧いてくる。

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