◆揺らぐ「就職は大卒有利」
 日本社会では「大学進学は就職に有利」という考えが広まり、こうした共通認識が進学率を底上げすると同時に、大学の定員増も後押ししてきた。
しかし、近藤さんはこうした価値観も揺らぎ始めたと感じている。
 近藤さんが着目しているのは、現役生が大学進学を志望する割合の推移だ。
18歳人口がピークだった92年当時は35.5%で、その後2000年代に掛けて50%台まで急上昇したが、2010年代は横ばいに。足下では60%前後で推移している。
 進学しやすくなったのに、現役生の志願率は頭打ちになっているように見える。いったい、なぜなのか。
 「08年に起きたリーマンショックの影響で、当時70%あった大卒者の就職率は2年間で61%まで下落しました。
その後は働き方が多様化し、学歴がなくても動画配信などで稼ぐことができるSNS時代が到来。
こうした世の中の変化で『いい大学に入っていい企業に就職すれば安泰』とか『大卒でなければ裕福になれない』
といった価値観が崩壊したことが、志願率の頭打ちという形で現われたのではないでしょうか」(近藤さん)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b93bff2d80c64b22c2ce2873dfc0ef83a50eba19