管理する賃貸住宅の独居者の病死した場所が実際は路上だったのに自室内と偽った死体検案書を保険会社に提出し、部屋の原状回復費として支払われる保険金100万円を詐取したとして、大阪府警は25日、大阪市北区の保険代理店「ブリュレ」代表、鈴木順也容疑者(49)(大阪府豊中市)を偽造有印公文書行使と詐欺の容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
このほか、同代理店の実質経営者の男(56)と、大阪市生野区の不動産会社代表の女(54)の逮捕状も両容疑で取って事情を聞いており、容疑が固まり次第逮捕する。
この独居者は生活保護を受給していた70歳代男性で、親族とも疎遠だった。府警はこうした状況を悪用し、医師が作成する死体検案書を何らかの方法で入手して不正請求したとみている。鈴木容疑者らは2018年以降、生活保護を受給する十数人分の保険金を請求して計約1000万円を受け取っており、府警は詳しい経緯を調べる。
捜査関係者によると、鈴木容疑者らは共謀。20年8月、この不動産会社が管理する大阪市内の賃貸住宅に住む70歳代男性が同市内の路上で病死したのに自室内で亡くなったと偽った死体検案書の写しのほか、部屋の原状回復費がかかったとする虚偽の請求書を保険会社に提出。同年9月、家財保険金100万円をだまし取った疑い。
提出された死体検案書の死亡日も約2か月遡って記載されていたという。府警は、遺体が長期間放置されて部屋が汚れ、回復費が高額になったよう装ったとみている。加入していた家財保険は単身の入居者が室内で死亡した際に原状回復の費用を補償するもので、この保険代理店が販売していた。家財保険の請求に必要な死体検案書は死亡した場所や日時、死因などが記載された文書で、医師が記入して遺族らに渡される。府警は虚偽記載された経緯や入手ルートも調べる。
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