Springメンバーの祥子さんもまた、幼い頃に受けた被害を20代後半になって思い出した。ちょうど将来への夢を抱き奮闘していたところだったが、記憶を取り戻したことでうつがひどくなった。PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された。
仕事は続けられず、治療費は全額自己負担。自身に起きた被害を認識し、やっと社会に助けを求められる状態になった時には、すでに公訴時効になっていた。
時効は、性犯罪被害の特性が考慮されることなく機械的に適用されるうえ、そうした被害者への救済制度は何もない。「被害者は悪くないのに昔の被害に対して支援が全くないという状態は、国から2次被害、3次被害を受けているみたい」。祥子さんは、被害者の中長期的なケアの必要性を訴える。
まだ性への知識の乏しい幼少期に性被害を受けたことで、その後も被害にもあいやすくなってしまう問題を指摘するのは、深雪さんだ。「自分を守るための反応としてノーと言えず、抵抗なんてできないんです」と、被害者自身が心と体を切り離してしまう実態を語る。同じ経験をもつ祥子さんも、「それがサバイバルスキルですもんね」とうなずく。
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