『ガンダム 水星の魔女』大成功を導いた“Twitter占拠作戦”の破壊力 明らかに不便な「毎週1話」方式が日本で好まれる理由とは《タイパよりリフレイン?》
2023年1月29日 17時0分

文春オンライン

最初に流行ったのは、全話を一気に見るスタイル

「倍速・タイパ」と呼ばれる視聴スタイルとは真逆のこの方法によって視聴者が最初に作品を見るタイミングをいわば強制的に揃え、SNSを占拠する。さらにSNSで言及してもらいやすくするための仕掛けも作品内に張り巡らせ、放送後のタイムラインをファンアートや流行りのフレーズで埋め尽くしてもらう。「リフレイン(繰り返し)消費」とも呼ぶべき体験が、明らかに意図的に起こされていたのだ。

 2015年にNetflixが日本に上陸してから既に7年が経過した。Netflixのような映像配信サブスク・サービスが拡げたのが連続ドラマ・アニメなどを全話一気にみる「ビンジウォッチング」と呼ばれる視聴スタイルだ。ビンジ(binge)とは「どんちゃん騒ぎ」や「熱中」を意味し、1話1時間のドラマを10話×4シーズンぶっ通しで見るような視聴スタイルが拡大した。そのためサービス側は、人気があり、かつ話数の多いシリーズ作品を揃えることで契約者を夢中にさせて継続利用を促していくことに力を注いできた。

 そんな中、日本のアニメは「ゲーム・オブ・スローンズ」のような大型実写作品に比べると1話あたりの調達コストが圧倒的に安く、サブスク・サービス会社にとって宝の山だと思われていた。

 特にNetflixは、日本のアニメスタジオと次々に提携して「聖闘士星矢」や「攻殻機動隊」シリーズの新作を制作、Netflixの「オリジナル」作品として展開を行ってきた。1作品2億円以上かかる制作費のほとんどを独占配信権料としてNetflixが支払うことでアニメ産業にもメリットが大きい取り組みだった。2020年頃まで「アニメ市場が拡大」というニュースが毎年のように流れたのは、主にこれが理由だ。

https://news.livedoor.com/article/detail/23616983/