そして実際に何が起こったのかというと、2013~2015年の3年間で大企業の収益が改善し、日経平均株価は83%も上昇することができました。しかし同じ3年間で、実質賃金は4.6ポイント減少し、その減少幅はリーマン・ショック前後の期間と匹敵していたのです。その結果、個人消費も2014~2015年に2年連続で減少し、その減少率はリーマン・ショック期の2008~2009年の2年間を超えて戦後最悪を更新したというわけです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakaharakeisuke/20230130-00334798

失敗を糊塗するために新しい戦力を相次いで投入


このような散々な成果を大手メディアが報じなかったなかで、日銀は思うように物価が上がらない情勢を受けて、2016年1月にマイナス金利という愚策を導入しました。黒田総裁は当初、「異次元緩和は2年の短期決戦だ」として、「戦力の逐次投入はしない」と強調したはずですが、それまでの失敗の検証をすることなく、新しい戦力の投入を決定したのです。

マイナス金利を導入した時点で、日銀の金融政策が破綻することは容易に想像できました。というのも、現代の経済システムは、気が遠くなるほどの長い年月をかけて、金利が必ずプラスになるという前提で構築されてきたからです。そういった常識を踏み外した政策が、最初から破綻することはわかりきっていたのです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakaharakeisuke/20230130-00334798