米国務省 ブリンケン長官の訪中延期を発表 中国の気球飛行で
中国の気球が、アメリカ本土の上空を飛行していることが明らかになったことを受けて、アメリカのブリンケン国務長官は中国側に対し、「明確な主権の侵害だ」としたうえで、日本時間の4日に出発する予定だった中国への訪問を延期すると伝えました。
アメリカ国防総省は2日、偵察用の気球がアメリカ本土の上空を飛行しているのを確認したと発表し、中国外務省は気象などを研究する民間の飛行船だと認めたうえで、「アメリカに迷い込んだことを遺憾に思う」との見解を示しています。
こうした中、アメリカ国務省の高官は3日、記者団に対しブリンケン国務長官がこの日に出発する予定だった中国への訪問を延期すると明らかにしました。
国務省によりますと、ブリンケン国務長官は3日、中国共産党で外交を統括する王毅氏と電話会談を行い、中国訪問の延期を直接伝えたということです。
この中でブリンケン長官は、気球の飛行は「無責任な行動であり、明確な主権の侵害と国際法の違反にあたる」として、こうした状況は中国訪問の意義を台なしにするもので、訪問は適当でないと説明したということです。
ただ、中国側が気球の飛行について「遺憾だ」としていることには留意するとしています。
そして、ブリンケン長官は米中両国の対話のチャンネルを維持する姿勢に変わりはないとして、状況が整えばなるべく早い段階で、中国を訪問するとの考えを伝えたということです。
米国務長官 中国訪問の経緯
アメリカのブリンケン国務長官の中国訪問は、去年行われた米中首脳会談をきっかけに調整が始まったものです。
アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席は去年11月、訪問先のインドネシアで初めて対面での首脳会談を行い、政府間の対話を継続するため、ブリンケン長官が中国を訪問することで合意しました。
これを受けて両政府は、ブリンケン長官のことしの早い時期の訪問に向けて調整を続け、アメリカ時間の3日夜、日本時間の4日、ブリンケン長官が中国の北京に向けて出発し、秦剛外相などと会談する予定になっていました。
ただ、中国の気球がアメリカ本土の上空を飛行していることが明らかになったことを受けて、アメリカ議会からは中国を強く非難する声があがり、野党・共和党の一部からは中国訪問を見送るよう求める意見も出ていました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230204/amp/k10013970431000.html