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初の鳥インフル疑いで大隅に衝撃 なぜ今?なぜ大隅?専門家は 鹿児島県
大隅地方での鳥インフルエンザ疑い事例の確認は、鹿児島県内で2011年に初めて鳥インフルエンザが確認されて以降、初めてです。
この1か月余り新たな確認がなく、収束も期待された中で確認された新たな疑い事例。なぜ今?そしてなぜ大隅なのでしょうか?
(鹿屋市 中西市長)「鹿屋で、大隅半島で初めて鳥インフルエンザが発生したということで、大変心配をしております」
大隅地方で初めて確認された鳥インフルエンザの疑い事例。地元では衝撃が広がっています。
去年2月時点の肉用の鶏、ブロイラーの飼育数をみると、鹿児島はおよそ2809万羽で全国1位となっています。また、おととし2月時点の県内の地区別のブロイラーの生産シェアを見ると、曽於が全体のおよそ3割、肝属がおよそ2割と、大隅地方で県全体の半分を占めています。
その大隅での初の事態に、関係者は危機感をにじませます。
(JA鹿児島きもつき 下小野田寛・組合長)「今シーズンはもう鳥インフルエンザが発生せず終わってくれると思っていたが、びっくりした。非常に危機感を持っています」
(鹿児島大学共同獣医学部 小澤真准教授)「今季は全国的に、過去には発生例がなかった都道府県も含まれている。同じような発生リスクが大隅半島にもあると思っていた」
鳥インフルエンザウイルスなどを研究する、鹿児島大学の小澤真准教授です。今シーズン、県内の養鶏場で確認されていた鳥インフルエンザの事例は、11例が北薩、1例が南薩で、去年12月21日以降、新たな確認はありませんでした。
ツルの北帰行も始まるなど、死んだ野鳥の回収数も減るなど、収束も期待される中での新たな確認となりました。
小澤准教授は、ウイルスを持ち運ぶとされる野生のカモ類が例年以上に広範囲で越冬していたことが原因の1つとして考えられると指摘します。
(鹿児島大学 小澤真准教授)「今季はよりいろんな所で越冬する、より幅広いカモ類にウイルスがまん延していて、その延長でたまたま大隅地方で越冬しているカモ類の中にウイルスを持っている個体群がいたのではないか」
そして鳥インフルエンザの影響で全国的に卵の価格が上がる中、大隅地方などブロイラーが盛んな地域でも感染が広がれば肉にも影響が出るおそれがあり、防疫対策が大切になると話します。
(鹿児島大学 小澤真准教授)「卵の値段や流通が減っている話があるが、その影響が鶏肉にも及んでしまう可能性が懸念される。生産量が元に戻るまでは相応の時間と金や労力もかかってくる。今まで通りの防疫措置をより厳重に粛々とやることが、第一義的に必要な対策」