実際、安倍氏は長年にわたって、浄土宗と浄土宗檀信徒の国会議員でつくる親睦団体「浄光会」の世話人を長年、続けてきた。浄光会とは、元は戦時下における浄土宗のロビー団体を前身にもつといわれている。戦前は、どの宗教団体も政治との結びつきを深め、競うように戦時協力してきた背景がある。

なかでも浄土宗は、江戸時代の徳川将軍家を檀家に抱え、繁栄してきた。そんな歴史的経緯があり、特に権力との結びつきが深い教団である。過去には政界に進出する浄土宗僧侶もいた。たとえば、戦後に増上寺の法主を務めた椎尾弁匡は、1928(昭和3)年衆院議員に当選して以来、3期にわたって国会議員を務めている。

浄光会は戦後しばらく休眠状態であったが、平成の時代に入って復活した。その新生浄光会の世話人を務めたのが、安倍氏の父で外務大臣を務めた晋太郎氏であった。

晋太郎氏は浄光会が復活して間もなくの1991(平成3)年に亡くなった。そのため、父の後を継ぐ形で安倍氏が世話人を引き受けたというわけだ。
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