東京都千代田区は6日未明、区道「神田警察通り」にあるイチョウ並木のうち4本を伐採した。並木を巡っては地元住民が伐採に強く反対し、区を相手取った住民訴訟など2件が東京地裁で係争中。そのさなかの伐採に住民は憤った。

 問題となっているのは1.4キロの通りのうち、一ツ橋—神田警察署前交差点間(230メートル)の32本。区は歩道拡張や自転車道整備で30本を伐採し、2本を移植する計画だ。

 街路樹を保存する方針としたガイドラインが意見公募もなく伐採の方向へ変更されるなどしたため住民が反発した。区は昨年4月に2本を伐採したが、住民が現地に座り込むと、それ以上切らなかった。その後、住民が区を相手取り、慰謝料と工事費の支出差し止めなどを求めて提訴した。

 伐採は昨年4月以来で、住民への通知はなかった。「神田警察通りの街路樹を守る会」発起人代表の滝本幾子さんは「職員は2〜3年で担当が変わるが、私たちは住み続けている。地域を良くしようと活動しているのに」と悲しんだ。

 滝本さんらは区役所で抗議文を手渡そうとしたが、樋口高顕区長は受け取らず「粛々と進める」と繰り返したという。区幹部は係争中に伐採したことを「伐採差し止めの訴訟ではないので」と話したという。

 住民側の慰謝料請求を担当する山下幸夫弁護士は「こうした強硬なやり方は通常、考えられない」と話す。(井上靖史)

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