2月上旬、ウクライナの情報機関・保安庁が、捕虜収容施設の取材を朝日新聞に許可した。
ウクライナ中部ドニプロ郊外の施設を訪ねると、ロシア軍将校に続いて現れたのは4人の「ウクライナ人」のロシア側戦闘員だった。

 4人は「ルガンスク人民共和国」の出身だった。

 「ルガンスク人民共和国」はウクライナ東部ルハンスク州に位置し、2014年に親ロシア派武装勢力が占拠し、一方的に独立を宣言した。
昨年9月にはプーチン大統領が一方的にロシア領への「編入」を宣言した地域だ。

 4人のうち、ある捕虜は「金のためだった」と語り、別の捕虜は戦闘員になったのを後悔しているとして、目に涙を浮かべた。
感情を抑えたロシア人将校とは対照的だった。

 4人ともルハンスク州の同じ町の出身という。

 彼らはウクライナ人だ。だが、ロシアが事実上支配権を握り、ロシア化が進められた故郷でロシア側の「軍隊」に入隊。
その後ロシア国籍を取得した。4人とも、昨年9月に同州ビロホリウカでウクライナ軍に捕まった。

 「マロイ」とニックネームを名乗った44歳の戦闘員は21年8月に入隊したという。

 「関心は金だけだった」。建築作業員だったが現場の仕事がなく、生活に困っていたという。
東部では当時ウクライナ軍と親ロシア派との紛争が続いていたが、自分が戦場にかり出されるとは考えなかった。

https://www.asahi.com/articles/ASR2971P1R27UHBI03P.html