「ルフィ」事件での協力に謝意 岸田首相、フィリピン大統領と会談

岸田文雄首相は9日、首相官邸でフィリピンのマルコス大統領と会談した。大統領は昨年6月の就任後、初の来日。日本とフィリピンが東・南シナ海で直面する中国の海洋進出を念頭に、インド太平洋地域での、安全保障面の連携強化を確認した。日本政府関係者によると、首相はフィリピンを拠点とした特殊詐欺グループの幹部が日本に移送・逮捕された事件への協力に謝意を示した。

両氏は、自衛隊がフィリピン国内で同国軍と人道支援や災害支援の訓練を行う際の手続きを簡略化する取り決めに署名。来年3月までに円借款を含めた計6千億円の官民支援を約束し、鉄道整備などで協力する。

日本とフィリピンはいずれも米国の同盟国。日本はフィリピンに2017年からの5年間で1兆円規模を経済支援した。安全保障面では、米軍を交えて人道支援や災害支援の共同訓練をしてきた。今年中には、自衛隊の警戒管制レーダーがフィリピンに設置される予定で、安倍政権が14年に条件付きで武器輸出を認める「防衛装備移転三原則」を策定して以来初めての国産の完成装備品輸出となる。

首相は、共同記者発表で「両国の共同訓練等を強化、円滑化するための枠組みの検討を継続していくことで一致した」と語り、9日に署名した共同訓練の手続き簡略化を、人道・災害支援以外にも広げる「円滑化協定(RAA)」締結につなげたい考えを示した。

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