全国で相次ぐ強盗事件の指示役が関与した疑いがある特殊詐欺グループを巡り、フィリピン当局が同国の拠点を一斉摘発した際、逃走したメンバーが数十人に上ることが10日、捜査関係者への取材で分かった。
 一斉摘発後もグループによる被害は続いたといい、警視庁は、リーダー格の渡辺優樹容疑者(38)が逃走に成功したメンバーを使って活動を継続した疑いがあるとみて調べている。
 捜査関係者によると、フィリピン当局は2019年11月、日本の警察当局からの情報に基づき、マニラ郊外にあるグループの大規模な拠点を急襲。うその電話を日本にかける「かけ子」36人を一斉摘発した。この際、拠点にはほかに数十人のメンバーがいたが、摘発を逃れ逃亡したという。
 渡辺容疑者も当時、拠点におらず、摘発されなかった。グループによる被害は同月以降、少なくとも半年は続いており、同容疑者が逃亡したメンバーを使って特殊詐欺をしていた可能性があるという。
 グループは「闇バイト」で集めた「かけ子」が警察官を装い、フィリピンから電話をかけるなどしており、少なくとも2300人から60億円超を詐取した疑いがある。
 これまでに摘発されたメンバーは、国内外で70人以上に上る。
 同庁は9日までに、フィリピンで拘束されていた渡辺容疑者らグループの幹部4人を逮捕した。警察当局は、この中に一連の強盗事件の指示役がいるとみて捜査している。

時事通信 2023年02月11日07時14分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023021001089