故人から18年間固定資産税引き落とし 福岡・大牟田市、同様例10件

 福岡県大牟田市は8日、2004年に亡くなった市内の女性=当時50代=の金融口座から、
05~22年の18年間にわたって固定資産税を引き落としていたことを明らかにした。
課税額は非公表だが、18年間で百数十万円程度とみられる。
故人の口座から税を引き落とす同様の例が少なくとも約10件あることも分かった。

 市によると、女性は市内に土地2カ所と住宅1棟を所有していた。
死後、関係者から死亡届が出され、市民課から税務課に連絡があった。
しかし、女性は配偶者や子ら相続人がおらず、口座も凍結されていなかったため、
課税先が変更されないまま引き落としが続き、課税を一時止める「課税保留」手続きも失念し放置状態となった。

 22年10月、女性の遠戚者の指摘で引き落としが発覚した。
市は、女性の相続財産管理人が選定されれば死後に徴収した税を還付するが、
選定は利害関係者らが家裁へ申し立てる必要がある。

 故人の口座から税を引き落としている少なくとも約10件については、近く課税保留手続きを取る方針だ。
相続人が定まらず、遺族側から故人の口座から引き落とすよう依頼される例もあるという。

 吉田尚幸・市民部長は「故人に長期間課税してしまい、遠戚者におわびした。
財産管理人が選任されない場合の対応は弁護士を含めて精査する。
相続人がいない同様のケースは課税保留にして再発を防ぐ」と話す。【降旗英峰】

https://mainichi.jp/articles/20230208/k00/00m/010/254000c