社説:観光立国計画 「公害」繰り返さぬ施策を

 新型コロナウイルス禍の後を見据え、政府は観光政策を仕切り直す。

 観光庁は2023年度から3カ年の「観光立国推進基本計画」の改定素案をまとめた。

 訪日客(インバウンド)数の目標は、過去最多の19年の3188万人を超える水準に「V字回復」を目指す。同時に富裕層の誘客や地方分散などを通じ「質的な向上」も打ち出した。

 コロナ禍で一時は「蒸発」したインバウンド回復への期待は大きい。一方、京都市などで問題になったオーバーツーリズム(観光公害)の再来を警戒する声も根強い。

 観光客の志向の変化も捉え、質を兼ね備えた持続可能な成長産業にできるかが問われる。

 以前の計画は20年度までだったが、コロナ禍で更新を見送っていた。改定案でも政府は観光を「成長戦略の柱、地域活性化の切り札」と位置付けた。

 中国からの団体客の再開や、25年の大阪・関西万博の開催を織り込み、訪日客の最多更新を掲げる。

 21年に25万人まで落ち込んだ訪日客数は、22年は水際対策の緩和で383万人に増えたとはいえ、コロナ禍前の約1割だ。

 新たな感染症の流行などを含め、順調に客足が戻るのか、先行きは不透明だ。

 質の向上では、19年と比べて訪日客1人当たりの消費額を15万9千円から20万円へ、三大都市圏を除く地方部での宿泊は1・35泊から1・5泊へ上積みを図るという。

(以下ソース)

https://news.yahoo.co.jp/articles/8253ec7730995765f2e910405503f042c2e70c6d