アレフへの抗議活動に補助金「違法性なし」 大津地裁、信者の訴え棄却

 滋賀県甲賀市に2カ所あるオウム真理教の後継団体「アレフ」の施設を巡り、立ち退きを求める住民の抗議活動に市が補助金を出したのは違法だとして、住人の男性信者2人が市に補助金を返還請求するよう求めた訴訟の判決が14日、大津地裁であり、堀部亮一裁判長は請求を棄却した。

 判決などによると、施設は同市水口町と信楽町にある住宅で、ともに数人が共同生活している。地元住民らは2000年ごろから追放集会などの活動を続け、市は19年、「反社会的団体に対抗する組織活動補助金交付要綱」に基づいて、住民が結成した2組の抗議組織に各10万円を交付した。

 原告の信者2人は、住宅は生活や個人的修行の場に過ぎずアレフの施設ではないとした上で、「要綱は憲法で保障された居住、移転や信教の自由の侵害」と訴えていた。

 堀部裁判長は判決理由で、住宅は信者同士が信仰を中心とした共同生活を送る場として利用されているとし、「共同生活を希望する信者を受け入れるアレフの施設として機能している実態がある」と推認した。

 地元住民らが開く追放集会は「年に1度、1時間程度行われるものに過ぎず、住宅がアレフの施設として機能していることに対する抗議というべき」と指摘。住民の抗議活動が原告の私生活の場を失わせることを目的としたものとは認められず、補助金の支出に違法性はない、と結論付けた。

 一方、要綱そのものが、憲法が保障する権利の侵害に当たるかどうかは判決理由で言及されなかった。

 甲賀市の岩永裕貴市長は「これまで行ってきた自治会支援を適正に認めてもらったと理解している」とするコメントを出した。
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