英語教育「早ければ効果が出る」は幻想? 小学生の学びで大切なこと

小学3年生から「外国語活動」として英語を学ぶことが、2020年度実施の学習指導要領に盛り込まれました。ただ、1年生から英語の授業がある自治体もあります。

英語は早く学んだほうが良いのか。外国語習得や言語教育に詳しい、米ペンシルベニア大学のバトラー後藤裕子教授に英語の早期教育の効果や注意点を聞きました。


根強い「ネイティブ神話」
 
――英語はいつから学び始めると良いですか。

何歳から学ぶと良い、という決まった答えはありません。

生活の中で英語を使う第二言語環境では、年齢がある程度関係します。特に発音は、早く学んだほうがいわゆるネイティブに近くなるでしょう。

ですが、日本のような、英語を日常的に使わない外国語環境では、それは「幻想」です。

――「幻想」、ですか。

日本では、発音や聞き取りの能力を身につけるために、ネイティブから学ぶべきだという「ネイティブ神話」が根強くあります。

ただ、週1、2回の英語を年齢の早い段階で始めたとしても、それだけで発音は良くなりません。ネイティブの授業を受けたか否かが、その後の英語力の差につながらなかったという研究もあります。

最近では、そもそも、ネイティブのような発音を身につける必然性はない、と言われるようになりました。

――どういうことですか。

今の英語教育では、「母語が異なる人たちの共通言語として英語があり、意思疎通できるかを重視する」という考え方が主流です。

英語が母語の人もいれば、第二言語や外国語の人もいます。こういう人たちと対話するのに、必ずしもネイティブのような発音である必要はないのです。

ネイティブが英語教育のプロだとも限りません。「ネイティブ神話」からは、そろそろ卒業しても良いのではないでしょうか。

https://digital.asahi.com/sp/articles/ASR2F7QBPR1ZULEI008.html?iref=sp_new_news_list_n