白人至上主義者の19歳に仮釈放なしの無期懲役判決 NY州銃乱射

米東部ニューヨーク州で昨年5月に起きた白人至上主義者による銃乱射事件で、同州の裁判所は15日、州法の殺人罪やヘイトクライム(憎悪犯罪)に基づく国内テロの罪に問われた白人のペイトン・ジェンドロン被告(19)に対し、仮釈放のない無期懲役を言い渡した。米メディアが伝えた。

ジェンドロン被告は昨年5月14日、同州バファローの黒人客が多いスーパーマーケットを狙い、店内などで半自動小銃を乱射。黒人10人を殺害した。被告はネット上に残した「犯行声明」で、白人が少数派に取って代わられるという根拠のない白人至上主義の陰謀論を称賛していた。

 判事は「白人至上主義は私たちの社会と国家でひそかに進行してきた『がん』だ」と指摘し、「歴史に学ばねばならない」と述べた。被告は「黒人だから撃ち殺した」と認めた。「ネットで読んだことを信じた。取り返しがつかないが、誰も私に感化されてほしくない」と謝罪したが、遺族とみられる男性が被告につかみかかる場面もあった。

ある遺族は「あなたは黒人を憎むほど黒人のことを知りもしない。ネットで(白人至上主義の思想を)知ったのだろうが、全く間違えている」と述べた。

 被告はこれとは別に連邦法の憎悪犯罪などの罪でも起訴されており、死刑を言い渡される可能性もある。バイデン政権は連邦レベルでの死刑の執行は一時停止している。

 同州のホークル知事らが昨年10月に公表した事件に関連する報告書は、被告が匿名ネット掲示板「4チャン」で白人至上主義の考えに染まっていったことを指摘。法規制がないために「4チャン」などのプラットフォームが「過激化の温床」になっていると警告した。【ニューヨーク隅俊之】

https://mainichi.jp/articles/20230216/k00/00m/040/022000c