NATO事務総長 露軍「大攻勢を開始」 ウクライナに最新装備必要
安倍 雅信
2023年2月15日
【パリ安倍雅信】北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は13日、ロシア軍のウクライナへの大攻勢を防ぐために協議を行う国防相理事会に先立ち記者会見を行い、「すでにロシアは大攻勢を開始している」との認識を示すとともに「ウクライナ軍は西側が提供できるより多くの弾薬を消費している」と指摘し、戦闘機の提供も排除せずに議論する意思を示した。
ストルテンベルグ氏は、ロシアのプーチン大統領について「平和に向けた戦争終結の兆候は見られない」と述べ、ウクライナへの「武器および、最新システムの提供が不可欠」と強調した。
NATO加盟国ではドイツ、英国、米国が1月に戦車提供を決定している。米国は12月には地対空誘導弾システム・パトリオットミサイルをウクライナに送ることを発表し、ドイツとオランダもこれに続いた。ただウクライナ兵の訓練を必要としており、ドイツの米軍基地で実施される可能性が高い。
ウクライナのゼレンスキー大統領は8~9日にかけて英国とフランスを訪問し、英仏独首脳に対して防空強化のため戦闘機の提供を訴えた。さらに同氏は、ロシア軍が攻撃を強めるウクライナ東部バフムトが占領された場合、ロシア軍はさらに進軍する可能性が高いと訴えた。これに対して、ロシアを挑発したくないドイツは戦闘機提供を否定しているが、英仏首脳は選択肢から排除していない。
ストルテンベルグ氏は同盟国がウクライナに航空機を提供することを含め、多くの選択肢について「協議」していると述べた。また同氏は、武器だけでなくウクライナへの兵站(へいたん)提供について話し合うと表明した一方、「新しいシステム」を提供するだけではなく、「既存のシステム」が確実に機能するようにすることにも焦点を当てると述べた。さらに、ウクライナでの戦争が「昨年始まったのではなく、2014年(ロシアのクリミア併合)に始まった」という認識を持つべきだと訴えた。
NATO国防相理事会は14日から2日間の日程で開催されており、オースティン米国防長官を含む米国主導のウクライナ国防連絡グループのメンバーをはじめ、ウクライナのレズニコフ国防相も出席している。
https://www.worldtimes.co.jp/global/europe-and-russia/20230215-169046/