60億円の特殊詐欺グループ、フィリピンで摘発後に日本に拠点新設か
フィリピンを拠点とした特殊詐欺グループのうち36人が2019年11月に現地当局に拘束された後、摘発を免れたメンバーが日本に拠点を新たにつくり、詐欺を続けていた疑いがあることがわかった。メンバーの一人の男(40)が、キャッシュカードをだまし取った窃盗罪などに問われた17日の公判で明らかにした。
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男はこの日の公判で、18年8月ごろにフィリピンに渡航してグループ幹部の指示のもと、同国内でうその電話をかける「かけ子」やそのリクルーターなどを担当した、と証言。19年11月に36人が拘束されたことでマニラにあった拠点が使えなくなったほか、新型コロナウイルスの影響でかけ子を担うメンバーを日本から呼び寄せることができなくなったため、残ったグループのメンバーらが日本に新たに拠点を設けることになった、と経緯を説明した。
男は日本の拠点を「ニホンバコ」と呼び、フィリピンから日本にいるかけ子を「厳しく指導」するよう、グループ幹部から指示を受けたと明らかにした。実際にグループはこの拠点からうその電話をかけてキャッシュカードを盗み取る事件を繰り返していたとされ、男はこのうち3事件に関わったとして起訴されていた。
男が所属していたとみられる特殊詐欺グループは、渡辺優樹容疑者(38)がリーダー格だったとされる。このグループによる被害は、フィリピン拠点の摘発後を含め、20年6月までの約1年半の間に60億円以上に上るとみられている。(山口啓太)
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