https://www.youtube.com/watch?v=3krAQSoCO3o
ブラジル南部のラグナという町では、沿岸部に生息するハンドウイルカが追い込んだボラを人間の漁師が投網で捕まえるという文化が存在します。この珍しい相互作用を研究した結果、イルカたちは人間の漁師に利用されているだけでなく自ら人間と協力しており、相互作用から恩恵を受けていることが判明しました。
ラグナでは「イルカがボラの群れを沿岸部まで追い詰め、イルカが頭や尾を水面に打ち付ける合図に従って漁師が網を投げる」という協力関係が、約140年以上前から続いているとのこと。
時には沿岸からわずか2〜5メートルの位置までイルカがやってきて、漁師と一緒にボラを追い込むそうです。
オレゴン州立大学の海洋生物学者であるMauricio Cantor氏は、「漁師がイルカの行動を観察して網を投げるタイミングを決定していることは知っていましたが、イルカが漁師と積極的に行動を調整しているかどうかは分かりませんでした」と述べて、イルカが積極的に人間と協調しているのかどうかが研究の焦点だったと語りました。
研究の結果、漁師はイルカが沿岸部に来るとその方向に向かって歩き、イルカがいる時により高い割合で網を投げることが確かめられました。イルカを追いかけて漁をした漁師は浅瀬で魚を捕まえる可能性が17倍高くなり、捕まえる魚の量が4倍も多くなることが分かりました。研究チームは、「イルカは明らかに漁師に対して漁獲量の利益をもたらします」と述べています。
また、イルカは漁師のすぐそばまで近づいて合図を送るほか、漁師が網を投げるとエコーロケーションに利用するクリック音を増やし、網が沈んでいる最中はより長い時間水中に潜っていることが判明しました。水中映像にはイルカが網から直接魚を引っ張り出している様子も写っており、漁師たちもイルカが網から魚を持って行くことはよくあると述べていたそうです。
最終的に研究チームは、人間との相互作用に従事するイルカはより多くの魚を食べることに成功し、生存可能性が13%も上昇すると結論づけました。
https://gigazine.net/news/20230218-dolphins-humans-team-up-dance/