武藤敬司、独占激白「ケガのせいで何ができるか想像できねぇんだ。ありのままを見てくれ」21日ラストマッチ

プロレス界のスーパースター・武藤敬司(60)が21日、東京ドームでの内藤哲也(40)戦で引退する。21歳で新日本プロレスに入門。1984年10月5日の蝶野正洋戦でのデビューから新日本、全日本、WRESTLE―1、プロレスリング・ノアと団体を移り、昭和、平成、令和と時代を超え数々の名勝負、ドラマをリングに描いた。また、化身の「グレート・ムタ」として日米でトップヒールを極め世界中のプロレスファンを感動させた破格の天才は、昨年6月に股関節の負傷を理由に引退を発表した。ラストマッチ前日となる20日、武藤が「今」の心境をスポーツ報知へ独占激白した。


もう腹をくくったよ。

 グレート・ムタのラストマッチ(1月22日、横浜アリーナ)で両脚のハムストリング(太もも裏にある3つの筋肉)を肉離れしちまってさ。

 全治6週間って診断されてさ。それから4週間、主治医の杉本和隆先生(苑田会人工関節センター病院長)に再生医療の注射とかブロック注射を2、3回打ってもらったり、リハビリ施設へ行って毎日、4~5時間ぐらいいろんなことをやってようやく4日前(16日)ぐらいから、ちょっと光が見えてきたんだけど、万全には戻らねぇんだ。

 だけど、プロレスラーはヒーローじゃなきゃいけない、スーパーマンじゃなきゃいけない。オレもプロレスラーだから、超人的なところを見せなきゃいけない。だから、もう大丈夫だよって自分に言い聞かせる。今は内藤を思いっきりぶちのめすことしか考えてねぇよ。

 ただ、思いも寄らないケガのせいで今のオレに何ができるか想像できねぇんだ。プロレスは、シャドーボクシングじゃないけど試合前に「こういう技をやろう」とか想像をして、骨格を描くんだけど、今回ばかりは、何がどこまでできるかわからねぇ。ゴングが鳴ったその時にオレ自身がどう反応して何ができるのか…まったく想像できねぇんだよ。だから難しいよ。怖いよ。

 プロレスの神様は最後の最後まで試練を与えてくれたよ。だけど、この試練も現役だから味わえるもんなんだって思う。結局、オレは「今」を生きるしかないんだよ。デビューしてから38年4か月。いろんなことがあったよ。新日本、全日本、WRESTLE―1、ノア…。米国ではムタになって変化したよ。戦った相手もアントニオ猪木さん、ハルク・ホーガン、藤波辰爾さん、リック・フレアー、天龍源一郎さん、スティング、長州力さん…ありとあらゆるトップと戦って、オレなりに満足する「作品」を残した自負はあるよ。

 ラストマッチだから普通ならそんな感傷もあるのかなと思ったりもしたよ。だけど、今は、そんなセンチメンタルはないよ。この「今」の試練と闘うしかないんだ。あえて感傷的なことを言えば、オレは常に「今」と闘ったよ。団体も対戦相手もそうだし、テーマソングだってコロコロ替えた。髪の毛もスキンヘッドにしたしさ。すべては「今」をどう生き抜くかを必死で挑戦した結果だったよ。

 でも、もしかしたら、それはオレだけじゃなくて生きている限り誰もが「今」と闘っているんじゃねぇのかな。過去の栄光に浸ってたら前に進めねぇじゃん。だから引退試合もオレにとっては「今」なんだよ。感傷なんてない。なぜなら、引退試合が終わった翌日の武藤敬司がどうなるかわからねぇんだから。

 今、ファンのみなさまへメッセージを送るとすれば「ありのままの武藤敬司を見てくれ」としか言えないよ。「今」のオレをすべてさらけ出して見せるしかない。それで評価してもらうしかない。予想がつかないよ。

 結局、最後まで闘いだよ。そして、それがプロレスなんだよな。(談)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9ccb8fe6f01b6d0a7bd99123a205551f322725f3