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 「カニが高い」「とても手が出ない…」。この年末年始、カニを買おうとして二の足を踏んだ方も多いのではないでしょうか。物価高の影響などもあって最近ますます「高根の花」になっているカニですが、とりわけ高級なタラバガニに似た味で価格も安い「イバラガニ」が最近にわかに注目を集めています。日本国内では北海道の網走沖でしか捕れない「幻のカニ」ですが、ロシア産が日本にたくさん入ってきているためです。ウクライナ危機が長期化する中、カニの流通ルートに何が起きているのでしょうか。(東京報道センター 佐々木馨斗)

■タラバと遜色ない味
 東京・上野のアメ横商店街。新鮮な魚介をつまみに、昼間から日本酒を楽しめる立ち飲み店「魚草(うおくさ)」を営む大橋社長(40)は昨年11月、年末年始向けに、初めてイバラガニを仕入れました。

 「カニの仕入れにかかわって20年になる私も、初めは『イバラガニなんてタラバのニセモノでは?』と先入観でいっぱいでした。でも実際に食べてみると、タラバよりも甘さがあって、身入りも鮮度も良好。すぐに注文を入れました」
 大橋社長は仕入れたイバラガニを、店頭やオンラインショップで販売しました。価格は、タラバガニが1キロ当たり1万円前後だったのに対し、イバラガニは3割ほど安い7千円前後。タラバより安く、遜色のない味わいに、顧客の反応も上々だったといいます。
 道産子として、それなりにカニを食べてきた私も、今年の1月下旬、アメ横の店頭で千円分を購入し、初めてイバラガニを食べてみました。なるほど、甘みが非常に強く、身も食べ応えがあり、なおかつクリーミーな味わいです。お店の従業員によると、溶かしたバターやポン酢とあえたり、身をほぐしてグラタンやコロッケの具材にしたりすると、さらに甘さが引き立つそうです。
 大橋社長は「正直、ベテランの私でも、目をつぶって食べたらタラバガニかイバラガニか分からないですよ。それぐらい味が似ているし、単純においしいです」。
 芸能人たちが「一流」を競って本物の食材などを当てる人気テレビ番組がありますが、お題で出されたら、皆さん苦戦するかもしれませんね。

■米国の禁輸で日本に流入
 東京都内のカニ販売業者によると、アメ横以外にも、全国でレストランを展開する外食大手や観光客向けの海鮮丼店、コロッケ店などイバラガニを扱う業者は徐々に増えているということです。これまで日本国内での漁獲が少なく、目立たない存在だったイバラガニがなぜ注目され始めたのでしょうか。そこには、昨年2月から続くロシアのウクライナ侵攻が色濃く影響しています。...

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