「海外の宝くじが当たりました!」

2014年の初夏。自宅に突然かかってきた電話で男が告げた。もらえる額は数億円。松山さんはうれしくて涙が出たという。

男は当せん金を受け取るための「手数料」を求めてきた。家業の経理を担っていた松山さんは、運転資金のほか、友人からの借金を支払いに充てた。現金を広告チラシに包んでレターパックに入れ、東京の指定された場所に送った。10回ほど繰り返し、気付けば約2500万円を送金していた。迎えた振込日。入金はなかった。夢は幻だった。

「私は罪人なのか」?。来る日も来る日もそう自問し、罪悪感を背負い込むようになった。周囲の目を気にして自宅に引きこもるうち、うつの症状が現れた。当時の日記に「くやしさとなさけなさで大声で泣いていた」とつづる。八十路(やそじ)を前に訪れた絶望だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/753e225231457d6407648cc5122209d5350edcd4