https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL192KJ0Z10C23A2000000/

先進国で働く人増えず、なぜ?

ここが気になる
コロナの厳しい行動制限がなくなれば職を離れた人も戻ってくる――こんな仮説を覆すデータが増えてきました。仕事に就かず職探しもしていない「非労働力人口」をみると、OECD加盟国全体で2022年夏時点で4.4億人とコロナ禍前より1000万人ほど多くなっています。米国の「労働参加率」は22年10〜12月時点で62.2%と19年の同じ期間を1.1ポイント下回ります。

米国では失業者に手厚い給付があったことも、働き手がすぐに職場に戻らない要因とみられます。自発的な離職者数はコロナ前に月300万人台でしたが、足元では400万人を超えています。働く人の回復は日本も鈍く、15歳以上のうち働く人と職探しする人を合わせた「労働力人口」は22年平均で6902万人、19年より10万人少なくなっています。

働く人の意識の変化も要因としてあげられます。専門職4000人を対象にした調査では、高い賃金よりワークライフバランスを選ぶ人が63%に達しました。IT分野では高度な専門スキルを求める企業が多く、求職者とのミスマッチが続きます。人材を必要とする産業に働き手が移らないままだと、成長の足かせになりかねません。