岸田内閣の支持率が2月の世論調査で40.6%に上がった。FNN(フジテレビネットワーク)および産経新聞社の合同世論調査による結果だが、2022年10月以来の40%台である。
旧統一教会問題から増税、物価高騰、そして岸田文雄首相の息子である首相秘書官(総務担当)の岸田翔太郎氏(32歳)による一連の騒動にもかかわらず支持率上昇、
自らを「乱世に強い」と自認する岸田首相の面目躍如といったところか。

「ほら、日本は世襲の国なんですよ。でなければ上がるわけがない」

 筆者が講師をしている趣味の教室、70代男性は嬉しそうだった。みなさん自分の子ども、とくに孫が大好きだ。まるで自分ごとのように政治家や芸能人の世襲も喜び語る。
高額の年金や資産で裕福かつ余裕のある方々というのもあるのだろうが、これまでの筆者による岸田親子に関する一連の記事、彼ら高齢者にはすこぶる評判が悪かった。
時代だろうか、彼ら高齢者もスマホを駆使するようになって久しい。むしろコミュニケーションアプリのLINEやネットニュースなどの「無料」サービスは喜々として活用している。
「慶應で三井物産で総理大臣の息子だもの。偉くなってみなさん妬んでるのよ。親の跡を継ぐのは当然でしょ」
跡継いでいる人ばかりの国…自分を肯定したい

 80代の女性もそう言って笑いながら筆者の尻を叩く。まあ、内輪のじゃれ合いだが、筆者は以前の記事で取り上げた、大ベテランの元議員に言われた言葉を思い出す。

「跡継いでる人ばっかりの国なんですから、跡継がせる人や跡を継いだ人にしてみれば自分を肯定されているようなものなんですよ」

 市井の多くの一般高齢者からすれば、その通りなのだろう。左右の問題ではなく「お気持ち」の問題ということか。自分ごととなると引退は嫌だし跡目を継がせるなら我が子や愛孫がいい。
財産があればなおのことだ。これは左右関係ないように思う。ただ、民間は結果も含め好きにすればいいと思う。問題は政治家の世襲である。自民党で4割以上、首相すら平成以降は7割が世襲議員から輩出されている。

 岸信夫前防衛大臣の跡を継ぐとした岸信千世氏(31歳)の華麗なる「家系図」アピールも、どちらかといえば地元山口県の高齢者向けだったのだろう。
この国は2022年7月の参議院選挙で約1億500万人の有権者のうち52%しか選挙に行かなかった。また日本全体で60歳以上の投票率が60%、59歳以下は43%(総務省)で10代、20代に至っては30%台しかない。
岸親子の地元、高齢化率全国3位(『第七次やまぐち高齢者プラン』・同県資料)の山口県(総人口132万人)では60歳以上(55万人)の投票率60%に対し、59歳以下(57万人)では30%台、20代では20%台と
7割の現役世代、若者が選挙に行かなかった。日本の政治家、とくに地方の政治家が高齢者と若者、どちらを向くかは自明の理である。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8286b03fc0296186cf2c82d1921be13c26493a3b