「ゴミは持ち帰りましょう」。2021年3月から駅のごみ箱を全て撤去した西武鉄道の西武新宿駅のホームには、貼り紙が貼られている。
自動販売機の隣には飲料メーカーが置くペットボトルや缶、ビンのリサイクルボックスはあるが、使ったティッシュペーパーなどのごみは捨てる場所がない。

同社は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けて20年4~6月、ごみを介した感染を防ぐため、ごみ箱をいったん封鎖。宣言解除後に開放したが、使用済みのマスクが捨てられるようになった。これまでもマナー違反に頭を悩ませていたこともあり、全駅での撤去に踏み切った。

当初は「なぜ西武鉄道だけごみ箱がないのか」と苦情もあったが、今はほとんどないといい、広報部の担当者は「一定の理解は得られている」と強調する。

利用者の受け止め方は分かれる。西武新宿駅を利用する東京都東村山市の主婦(48)は「安全対策の必要性や、マナー違反がある以上、仕方がない」と理解を示す。同市の臨時職員(78)は「駅で食べ物を買って食べても、ごみが捨てられない。もう一度、設置してほしい」と訴える。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230120-OYT1T50115/