食料問題の解決策のひとつとして世界的に広がりを見せている昆虫食をめぐり、「聖書の記述がコオロギも食べてよいと書き換えられた」などとするツイートが拡散している。
もともとは「いなごの類」だけとされていたものが、2017年に書き換えられたと主張し、それを「陰謀」などと指摘しているが、これは誤りだ。
当該部分についてはさまざまな解釈があるが、指摘されている聖書については、1970年に出版された旧版から「こおろぎ」の記載がある。
また、英語版の聖書では100年以上前から「コオロギ」(cricket)と記載されているものもあり、近年の昆虫食と結びつけるのは誤った見方だ。
BuzzFeed Newsは、ファクトチェックを実施した。
拡散しているのは、国政選挙に政党の公認を受けて立候補した経験のある女性のツイート。
同じような投稿を繰り返しており、「昆虫食陰謀」「宗教まで変えてしまう」「闇が深い」などと指摘している。
ツイートは「聖書修正までするのか」「用意周到な計画」などと拡散。なかには「聖書で禁じられたものを勧めるなんて悪魔」などとするものもある。
昆虫食を「陰謀論」の一環として批判する文脈で広がりを見せていることがわかる。
前述の通り、これは誤った情報だ。前提として、旧約聖書のレビ記にはさまざまな禁忌が記されており、「食べて良いもの、悪いもの」を規定している部分もある。
そのううえで、ツイートで指摘されているとみられるのは、「レビ記」(11章22)の『聖書 新改訳2017』(新日本聖書刊行会)の記載だ。
「それらのうち、あなたがたが食べてもよいものは次のとおりである。いなごの類、毛のないいなごの類、コオロギの類、バッタの類」(新日本聖書刊行会、聖書新改訳2017)
当該部分について、『新改訳2017』の旧版にあたる『聖書 新改訳』ではどう書かれているのか。調べてみると、1970年に出版された旧版にも以下の通り「こおろぎ」が含まれていることが確認できた。
「それらのうち、あなたがたが食べてもよいものは次のとおりである。いなごの類、毛のないいなごの類、こおろぎの類、ばったの類である」(新日本聖書刊行会、聖書新改訳)
カタカナになっている点や、言い回しなどの違いは見られるが、記載そのものが2017年に書き換えられたわけではない。拡散しているツイートは、誤りであることは明らかだ。
以下略、詳細はhttps://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/bible-criket