法務省は刑法の「強制性交罪」を「不同意性交罪」に罪名変更する方針を固めた。「強制わいせつ罪」は「不同意わいせつ罪」に改める。性犯罪規定を見直すため、今国会に提出予定の改正法案に盛り込む。被害者団体の要望を踏まえた対応で、同意のない性行為が処罰対象となることを明確に示す狙いがある。

 性犯罪規定は2021年に始まった法制審議会(法相の諮問機関)などで見直し議論が進められてきた。

 法制審が17日に斎藤法相に答申した法改正要綱では、強制性交罪などの成立要件について、現在の「暴行・脅迫」だけではなく、「虐待」や「経済的・社会的地位の利用」など計8種類の行為や状況を例示。それらによって、同意しない意思の表明などが困難な状態になった被害者に性行為をした場合は処罰するとした。

 処罰対象の行為などを具体的に示し、厳格な処罰につながるとみられている。

 被害者側は議論の際、意思に反する性行為を一律に処罰する罪として「不同意性交罪」の創設を求めたが、内心のみを成立要件にすると処罰対象が曖昧になるとの反論も出て、法制審の要綱には採用されなかった。

 ただ、要綱でまとめられた条文には「同意しない意思」との文言が使われ、被害者の意思も重視していることが示された。このため、被害者側は実質的に同罪を具体化した条文にあたるとして罪名変更を要請。法務省が検討を重ねていた。

 性犯罪の罪名は、2017年の刑法改正で強姦(ごうかん)罪が強制性交罪に改められた。

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