竹の塚にウクライナ避難民専門の無料カットサロンがあった 「納得の仕事」という77歳美容師の思いとは

 ウクライナの避難民専門の無料カットサロンが、東京・竹の塚に誕生した。美容師の大沼孝三さん(77)が、絵や写真を使ってやりとりしながら希望の髪形に仕上げる。世界のショーでも活躍したベテランならではのコミュニケーション力が、長期化する異国の生活で苦悩する人たちにひとときの癒やしを与えている。
 顔が印刷されたカウンセリング用の紙に、大沼さんが鉛筆で髪の毛を描いていく。まゆ毛と前髪の位置関係、サイドやトップの形など。身ぶりやスマートフォンの翻訳サービスも交え、希望を聞き取り、助言もしながら絵を完成させる。相手の納得を得てようやくカットに入る。

 美容室「KOZO」の経営者だ。避難民向けのサービスは、東京都内に展開する店舗の統合で空いた足立区の東武線竹ノ塚駅近くのサロンを改装し、1月10日にスタートした。取材に訪れた日、来店していたのはパブロ・メレンコフさん(26)。昨年6月に日本へ逃れ、足立区で暮らしている。大沼さんは10分ほどかけてカウンセリングをして、横と後ろを刈り上げたスタイルに仕上げた。
 全体の印象を左右する前髪のカットにこだわった。はさみを入れては確認することを繰り返した。パブロさんも「言葉は通じないけれど、豊富な経験を持っているのが伝わってきた」と満足そうに話した。

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https://imgur.com/pLacbcG.jpg