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必ず無いとはいえない
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失火の責任に関する法律は,失火による損害賠償は,「重過失」ある場合に限るとしています。

 そして,重過失とは一般的に「わずかな注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見できた場合で,故意に近い重大な注意力の欠如」とされています。
 簡単に言えば,一般的に「そんな馬鹿なことをしたのか!」というレベルでなければ重過失とは言えません。

 重過失を認めた判例として,例えば,以下のような判例があります。

①寝たばこの火災の危険性を十分認識しながらほとんど,何らの対応策を講じないまま漫然と喫煙を続けて火災を起こした場合
②電力会社が配線が垂れ下がっているのを現認したにもかかわらず,これを放置したために,強風のため電線が切れて家屋の火災が発生した場合
③藁が散乱している倉庫内で煙草を吸って,吸い殻を捨てたために,火災が発生した場合
④石炭ストーブの残火のある灰をダンボール箱に投棄したため火災が発生した場合
⑤石油ストーブに給油する際に石油ストーブの火を消さずに給油したことで,石油ストーブの火がこぼれた石油に着火して火災が発生し場合

 事例を見ると,やはり「そんな馬鹿なことをしたのか」という類のものと言えるかと思います。