絶滅種の光合成をやめた植物を30年ぶりに再発見 ―妖精のランプ「タヌキノショクダイ」の謎に包まれた進化史に重要な示唆―
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2023_02_28_01.html
タヌキノショクダイの仲間は、植物の本懐である光合成をやめた植物の一群で、キノコと見紛うばかりの奇妙な花をつける特殊な植物です。
神戸大学大学院理学研究科の末次健司教授 (兼 神戸大学高等学術研究院卓越教授) らの研究グループは、コウベタヌキノショクダイ (タヌキノショクダイ科) を30年以上の時を経て兵庫県三田市で再発見しました。
コウベタヌキノショクダイはこれまで花の一部が欠けている標本1個体が採取されているだけで、しかもその発見場所は既に開発により消失してしまっています。
このためコウベタヌキノショクダイは既に絶滅したと考えられていました。タヌキノショクダイの仲間は、海外では「fairy lantern (=妖精のランプ)」と呼ばれていますが、
コウベタヌキノショクダイの生きた姿は、まさに暗い林床を照らす「妖精のランプ」のようでした。コウベタヌキノショクダイは、アジア産のタヌキノショクダイ科で最北端に分布する植物で、
その実体の解明が望まれていました。今回、コウベタヌキノショクダイが再発見され詳細な研究が可能になったことで、
植物界で最も不思議な植物と評されるタヌキノショクダイの仲間の謎に包まれた分布パターンや進化史に重要なヒントを得ることができました。

本研究成果は、2月28日に、国際誌「Phytotaxa」にオンライン掲載されました。

ポイント
・絶滅したと考えられてきた光合成をやめた植物「コウベタヌキノショクダイ」を再発見。ガラス細工のような美しい花は幻想的でまさに「妖精のランプ」のようであった。
・日本には約6000種の維管束植物が自生するが、日本固有種で絶滅したとされる被子植物は6種のみで、絶滅種の再発見は学術的にも重要である。
・植物界で最も不思議な植物と評されるタヌキノショクダイの仲間の進化史に重要な示唆を与えた。 


以下ソース

https://www.kobe-u.ac.jp/images/research_at_kobe/NEWS/2023/2023_02_28_01-1.jpg

(おわり)