ジャマイカで2月、大麻愛好家として有名な同国出身のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの名を冠した大麻ショップがオープンした。マーリーが「ハーブ」と呼んでいた大麻の成分を含んださまざまな医療用製品が販売されている。
大麻ショップ「マーリー・ナチュラル・ディスペンサリー」は、厳密には販売許可を受けた薬局だ。ジャマイカの首都キングストン市内ホープ・ロード56番地にあるボブ・マーリー博物館内にオープンした。ここは、1981年に死去したマーリーが暮らした家とスタジオがあった場所でもある。
マーリーの遺族が運営する会社The Bob Marley Group of Companies(ザ・ボブ・マーリー・グループ・オブ・カンパニーズ)と、大麻成分カンナノビイド含有製品に力を入れる米シアトルのDocklight Brands(ドックライト・ブランズ)が共同経営するこの店は、大麻ブランドのMarley Natural(マーリー・ナチュラル)がジャマイカで初めてオープンした合法大麻販売店となった。
マーリー・ナチュラルの専属運営会社で販売代理店でもあるOne Draw Holdings(ワン・ドロー・ホールディングス)は、ボブ・マーリー・グループの傘下組織で、2018年にマーリーの息子スティーブンが立ち上げた。スティーブン自身も、グラミー賞に8度輝いたミュージシャンだ。
スティーブンは次のように話している。「父が、自分の博物館内にこのハーブ店がオープンしたと知ったら、きっと喜んだと思う。世界では大麻に対する考え方が大きく変化し、その良さがついに認められた。父と、ジャマイカのラスタファリアン(労働者と農民を中心にした社会宗教運動であるラスタファリの実践者)たちは、40年にわたって大麻の良さを訴えてきた。父自身と父が遺したレガシーにとって、店舗のオープンは正しいことだ」
聖なる儀式
ラスタファリ運動において、大麻は神聖な植物だ。そのため、マリフアナを使用することは、ボブ・マーリーにとって日々の聖なる儀式だった。マーリーは生前、「ハーブを吸うと、自分自身のことがわかる」と述べていた。
マーリー・ナチュラルの実店舗は、今後増えていく見込みだ。カナダではすでに、2022年4月に実店舗がオープンし、合法大麻の販売を開始している。店舗を共同運営するドックライト社は、新興の合法大麻市場を専門に投資する初のプライベート・エクイティ企業Privateer Holdings(プライベイティア・ホールディングス)によって創業された。
ドックライトはこう述べている。「ボブ・マーリーは、大麻にはポジティブな可能性が秘められていると信じていた。彼の精神、理想、自然への深い憧憬に触発された中心ブランドのマーリー・ナチュラルと、カンナビジオール(CBD)製品販売店のMarley CBD(マーリーCBD)を通じて、世界中の消費者にその思いを届けたい」
大麻成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)が含まれた製品は、大麻の花、タバコ状に巻いたプリロール、喫煙具、エディブルと呼ばれる菓子類などがある。一方、CBDが含まれた製品は、菓子類のほか、ドリンクや外用剤も販売されている。ドックライトによれば、これらの製品の一部は、米国のカリフォルニアやオクラホマなどの州で入手が可能だ。
合法大麻専門の調査会社Brightfield Group(ブライトフィールド・グループ)によれば、米国市場における年間売上高は、2023年末に推定320億ドル(約4兆4000億円)近くに達し、2028年には500億ドル(約6兆8000億円)を超えるという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6bf97b13fa279f01588adf14d944e880e05d96c7