愛媛・松山市にある松山東警察署は、2月27日から新庁舎での業務が始まり、歴代の署員たちが多くの事件を捜査・解決してきた旧庁舎は、その役割を終えた。管内でこれまでに発生した数々の事件、そして、市民の安全安心を守ってきた松山東署の歴史を振り返る。
中略
そして、松山東署の歴史を語るうえで外せないのは「福田和子」事件だ。15年に及ぶ逃亡劇の末逮捕された女は、今も愛媛県民だけでなく日本中の記憶に残っている。
時効寸前の劇的逮捕が注目を集めた「福田和子」事件で陣頭指揮を執った当時の刑事第一課長・中井邦彦さんが、旧庁舎5階の講堂を訪れた。
松山東警察署 元刑事第一課長・中井邦彦さん:
この部屋が作戦室で暑かったですね、あの時は。思い出すな、あの時を
1982年8月、ホステスだった福田和子元受刑者は同僚の女性を殺害して家財道具などを奪い、遺体を松山市内の山中に埋めて逃亡。15年に及ぶ逃亡劇の始まりだった。
警察は福田元受刑者を全国に指名手配。事件から約5年後、石川県にいることを突き止めたが、あと一歩のところで取り逃がした。
当時、福田和子元受刑者が知人にかけた電話音声:
楽しみにしとるんでしょうが、私が捕まるの。そんなドジはしない。切るよ、あぶないあぶない
その後、顔を何度も整形しながら逃げ続ける福田元受刑者。時効まであと1年となったタイミングで警察は勝負に出た。全国で初めて100万円の懸賞金を出したり、顔写真付きのテレホンカードを作ったりして、情報提供を求めたのだ。
そして、時効まであと21日。ついに福田元受刑者は福井県で逮捕された。決め手はテレビで放送された「電話音声」だった。
松山東警察署 元刑事第一課長・中井邦彦さん:
これはもううれしかったですよ。歴代先輩がずっと追いかけてきた重要な事件ですからね。その身柄が取れたことは非常にうれしかったですね
福田元受刑者の身柄は福井から移送され、松山東警察署に到着した時には多くの報道陣や事件に関心を持つ一般人が署の周辺に押し寄せた。
松山東警察署前での当時のリポート:
今、捜査員に囲まれて福田和子容疑者出てきました。身長153cmと小柄な福田和子容疑者ですので見ることができません。捜査員に囲まれて今カメラの前を通過しました
松山東警察署 元刑事第一課長・中井邦彦さん:
あれだけ一般の方も押しかけてきて、雑踏を整理するのが大変でした
中井さんは福田元受刑者と初めて対面した時、かけられた言葉が忘れられないという。
松山東警察署 元刑事第一課長・中井邦彦さん:
私の顔を見るなり「あなたはテレビで見たことあるわい」。そのことから始まりましたからね。もう度胸がすわっているんですね
時効寸前の逮捕が注目を集めたこの事件は、今なお多くの人の記憶に刻み込まれている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b1e5494b22586aa13727a1a2845ece23794ef0b