故郷では、今、このときもロシア軍による大規模な攻撃が行われています。故郷との現実が、レナさんの心をしめ付けていました。
レナさん:「友だちや家族が戦地に残っていると考えると、心が落ち着かない。非常に心配です」

さらに、順調かに見えた学校生活でも大きな壁がありました。
レナさん:「(Q.学校のウクライナ人の友だちはどうですか)良い人たちですが、あまり交流はしません」

同級生の多くは、西部出身でウクライナ語を話しますが、ロシアに近いハルキウ出身のレナさんはロシア語です。結局、“言葉の壁”を越えられないまま、レナさんは学校を卒業しました。
レナさん:「ウクライナ人の中には、ロシア語が好きではない人もいる。問題が起こる気がしたのです」

生活の全てに影を落とす“ロシア”という存在。1人で暮らし始めた部屋の壁には「黒い地図」が…ロシアが無数のバツ印で消されています。
レナさん:「見たくない。憎しみといら立ちを感じます」

十分に眠ることもできなくなり、薬を飲んでいました。
レナさん:「これ心の薬、これ寝る薬。はい爆発と、私の猫どこかわからない。これは心配です」

それでもレナさんは生きていくために仕事を見つけようと動き出します。向かったのはハローワーク。
レナさん:「何もせずにはいられません。社会の役に立ちたい。もちろんお金も稼ぎたい。あと、猫を飼いたい」

それから1カ月。今月13日、颯爽と自転車に乗るレナさんの姿がありました。部品組み立て工場での仕事が決まり、この日は初出勤。レナさんは、この先も日本で生活していきたいと考えています。
レナさん:「仕事はおもしろい。私は工場、いつも大好きです。うれしいです」