埼玉の二郎系ラーメン、「らーめん梵′s」ドイツでの出店に挑む : 読売新聞
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さいたま市桜区の埼玉大近くで盛りの多いラーメンを12年間提供してきた吉田ショウヘイさん(43)が5月上旬、新店を出すためドイツに渡る。コロナ禍の若者に挑戦する気持ちを伝えるのが狙い。ドイツの豚肉生産量はヨーロッパでスペインと最多を争うほどで、吉田さんは「質の良い肉を使い、喜んでもらえるようなラーメンを提供したい」と目を輝かせる。
吉田さんは埼玉県志木市生まれ。浦和市立高校サッカー部で全国大会に出場し、19歳で上京後はパンクバンドで10年間活動した。プロになる夢はかなわなかった。
バンドを続けるため21歳の時から三つのラーメン店で3年ずつ働いた。2008年頃、都内の店で「二郎系」の味に衝撃を受ける。太い麺、てんこ盛りの野菜、豚骨の濃いスープ。作り方も奥深さがあった。
吉田さんは11年に独立し、桜区に「らーめん 梵′sボンズ 」を開店した。「埼玉県内に二郎系の店はほとんどなかった。安い値段で思いっきり食べて満足してもらいたかった」。200グラム超えの普通盛、厚いチャーシューも評判を呼び、21年に加えた辛 味噌みそ の店を含め、主に10代~30代の食欲を支えてきた。
コロナ禍の20年、吉田さんは埼玉大生ら若者が休講やアルバイトの減少にあえぐ姿を目の当たりにする。自身も店を開けられず、時短営業も続く中、ラーメンに夢中になる留学生が多かったと思い出す。アニメ好きのドイツ人留学生・ヤンニさんが17年頃に週2、3回と通ってきた。
「国内の店を増やすのが普通の発想。でも自分は海外に店を出して挑む姿を若い人に見せよう」。ラーメン店が比較的少ないドイツを出店先に選んだ。
吉田さんは21年、ドイツ北部の文教都市ハノーバーに戻っていたヤンニさんを訪ね、現地で仕入れた豚肉と小麦で試作した。「精肉販売店も良い肉を提供しようと勉強熱心で感心した。手応えがあった」
円安で出店資金が不足し、今年3月までのクラウドファンディングを始めた。吉田さんは「最初はハノーバーを拠点に、キッチントレーラーでラーメンを提供する。ベルリンやハンブルクの街も見て、店を出す場所を決めたい」と話している。