なかなか簡単に言えませんが、もしも諸条件がこれまでと変わらないとすれば、2023年中には終わらないのではないかとみています。
ここで言う諸条件というのは、ロシア側が戦争を起こしたそもそもの動機です。
ロシア側はいろいろなことを言っていますが、私は突き詰めていくと、要するにウクライナを支配下に置きたいという、非常に民族主義的な野望であると思っています。もしも、この見立てが正しいのであるとすれば、ウクライナは多少、軍事的に不利になろうが、そう簡単にロシアに国家主権を明け渡すと思えないので、ロシアからすれば戦争目的は達成できないということになる。
一方で、ウクライナ側がどこかで妥協してロシアと停戦の話し合いをする気になるのか。
ロシアが今後もその政治的な意図を放棄する気がないのだとすれば、下手な停戦を結ぶと、ロシア軍が休み時間をもらうだけなんですよね。戦力を再編してまた攻めてきてしまう可能性がある。
だからいまは停戦したくないというのが、ウクライナ側の正直なところなのでしょうし、こういう言い方をウクライナ側も何回もしているわけですよ。
いまの状態だとロシア側もウクライナ側も両方、停戦することのメリットを見いだしていないので、戦争は続いてしまうんじゃないかと。しかもロシアもウクライナも純軍事的に見て、戦争を継続するだけの物理的能力があるのでできてしまう。意思も能力も両方あるっていうことになるんです。
戦争を止めるんだとすれば、そのどちらかを大きく変える。能力面でいえば、戦場でぶつかり合って、どちらかが決定的に戦争を遂行する能力がなくなってしまう、軍隊が壊滅してしまうという状況。両方が同じぐらい消耗して、もはや大規模な戦争を続けられなくなる、この状況が考えられます。
つまり▼ロシアが勝利するシナリオ、▼ウクライナが勝利するシナリオ、▼引き分けるシナリオ、が考えられますが、年内にこうした極端な状態が出現する可能性は低いと見ています。純軍事的にみると、戦争は続くと考えたほうがよいでしょう。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/03/03/29764.html