https://mainichi.jp/articles/20230304/ddl/k34/010/409000c

2019年参院選広島選挙区を巡る買収事件で河井克行元法相(59)=実刑確定=から現金20万円を受け取ったとして公選法違反(被買収)の罪に問われた安芸太田町議の矢立孝彦被告(69)に広島地裁は3日、罰金10万円の判決を言い渡した。被告が受領したと認定した20万円を没収するとした。検察側は罰金20万円を求刑し、20万円の没収も求めていた。

 石井寛裁判長は「選挙の公正を侵害し、議会制民主主義の根幹を危うくする犯行」と述べた。被買収罪で在宅起訴された9人のうち初の判決。確定すれば矢立被告は公民権が5年停止され、町議職を失う。被告は「控訴するかどうか支援者らと相談する」としている。

 弁護側は「いずれ返還しようと他の金と分けて保管していた。自己のものとする意思はなかった」と無罪を主張。石井裁判長は「河井氏に返す機会や方法はあったのに具体的行動をしなかった」と受領の意思を認めた。

 判決によると、被告は19年3月、河井氏の妻案里氏(49)=有罪確定=への投票取りまとめに対する報酬として現金20万円を受領した。