https://www.sankei.com/article/20230302-NNLCE7R2IJMJ3ONC7ABHEPIHJE/
くら寿司が「すしテロ」対策でAIカメラ全店導入 客の迷惑行為を監視
回転ずし大手のくら寿司は2日、店での迷惑行為を撮った動画をSNS(交流サイト)に投稿する問題が相次いだことを受け、迷惑行為が疑われる動作をAI(人工知能)カメラがリアルタイムに検知し、本部にアラーム音で知らせる新システムを公開した。同日に全532店舗で導入。デジタル機器と人の目≠組み合わせることで迷惑行為を防ぐ狙いがある。さらに米国や台湾など海外店舗でも導入を検討しているという。
すし皿が乗る回転レーンの上部に取り付けられたAIカメラが、客が一度取ったすしの皿をレーンに戻したり、抗菌すしカバーの開閉を繰り返したりする不自然な動きを検知すると、大阪と埼玉の本部にあるタブレット端末にアラーム音で知らせる仕組み。本部にはそれぞれ常時6〜7人の担当者がおり、迷惑行為を検知した店舗へ電話で連絡する。2日、全532店舗で導入。この日、大阪市中央区の道頓堀店でシステムを報道陣に公開した。
また、防犯対策として平成15年に導入していた店内を俯瞰(ふかん)撮影する「遠隔支援システム」も活用し、店舗名や座席・すし皿の番号などに基づいて店員が迷惑行為があった皿を回収し、利用客に声がけするようにする。
さらに客席に常設しているしょう油やわさび、お茶などは会計が済んだ時点で入れ替える。入れ替えについては2日時点で国内の約2割にあたる108店舗に導入。5月末までに国内の全店舗で導入を目指す。同社の広報担当者は「安心、安全に食事できる環境を整え、おすしが回るエンターテインメント性を守りたい」と話した。
AIカメラはもともと、店員を介さず利用できる非接触型店舗でのサービスとして導入していた。客が手に取ったすしの数を撮影し、自動的にカウントすることで会計業務の省力化につなげている。一方、外食チェーンでの迷惑行為が相次ぐ中、対策としてこのAIカメラを改良。今後、米国や台湾で運営する海外店舗でも「同様のシステム導入を検討する」という。
回転ずし店をめぐっては、他の来店客が注文したとみられるレーン上のすしに勝手にわさびをのせる動画や、客が卓上のしょうゆ差しの注ぎ口や未使用の湯飲みをなめる動画がSNS上で拡散し、各社は対応に追われている。さらにこうした迷惑動画が連鎖的に広がり、他の外食チェーンも対策に乗り出している。