ドクダミ
名に「ドク」とあるが、ドクダミは無毒である。雑草として身近な植物であるが、古くから民間薬として利用され、生薬としては十薬(じゅうやく; 重薬、蕺薬)とよばれる[注 3]。薬用の他にどくだみ茶や食用、園芸用などに利用されることもある。別名が多く、ドクダミソウ、ドクダメ、ギョセイソウ、ジゴクソバ、ウマゼリなどがある(分類表和名欄参照)。
日本、韓国、中国(中部から南部)、ヒマラヤ、バングラデシュ、台湾、インドシナ半島に分布する[1]。また北米やヨーロッパの一部に侵入している[1][29]。日本では北海道南部、本州、四国、九州、小笠原諸島から報告されている[1][42][43][52]。北海道のものは、本州からの移入によるものとされる[53]。
繁殖力が強く、ちぎれた地下茎からでも繁殖するため、放置すると一面ドクダミだらけになり、他の雑草が生えなくなる。強い臭気があることと、地下茎を伸ばしてはびこるため、難防除雑草とされる[39][40]。
日本では雑草として身近な存在であるが、古くから民間薬として利用され、ゲンノショウコ、センブリとともに日本の三大民間薬の1つとされる[39][59]。どくだみ茶やハーブ、野菜として利用されることもあり、このような需要のため商業的に栽培されている[60]。また観賞用として栽培されることもあり、欧米でも東洋のハーブとして人気がある[39][42]。
ドクダミは、内服薬として、胃腸病、食あたり、下痢、便秘、利尿などに利用され、外用薬としても腫れ物、吹き出物、皮膚病などに用いられる[40][61][62]。
花期の地上部を陰干し乾燥させたものは、日本では生薬として十薬(じゅうやく; 重薬や蕺薬とも書く)[注 3] とよばれる[22]。地下部(地下茎など)を含めて全草を利用する例もあるが[62]、日本薬局方では地上部とされる[63]。茎葉を干すことによって、特有の臭気は無くなる[37]。十薬の煎液には利尿作用、緩下作用、高血圧・動脈硬化の予防作用、抗炎症・鎮静作用、駆虫作用などがあるとされる[37][38][64][62]。民間では乾燥した(焙煎することもある)花つきドクダミを煎じ[注 4]、ふつう1日3杯程度服用する[37][38][64]。ただし、妊婦の服用や過剰摂取、長期の連続使用は避けるべきとされる[22][65][64]。
また湿疹、かぶれ、ニキビ、おでき、水虫、しらくも、痔などに対する外用薬としては、もんだ生葉をそのまま、生葉をすり潰したもの、煮詰めたり蒸し焼きにして軟膏状にしたもの、焼酎に漬け込んだ液、生葉汁、などの形で患部に塗布する[37][38][64][62][66]。蓄膿症、慢性鼻炎、膣炎には、生葉汁を挿入することがある[37][38][66]。あせもやニキビ、肌荒れには、生葉や乾燥したものを入浴剤とする[38][64]。
中国では魚腥草(ぎょせいそう)とよばれて解熱や解毒、鎮痛などに用いられ、五物解毒散(ごもつげどくさん)、栝楼薤白湯(かろうがいはくとう)、魚腥草桔梗湯(ぎょせいそうききょうとう)などの漢方方剤に処方される[32][67][68]。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%AF%E3%83%80%E3%83%9F
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