■ スターリンクの軍事利用を警戒か

スターリンクは、ロシアの侵攻を受けたウクライナでネットの生命線として機能している。中国側として、その存在感の大きさを警戒し今回の計画に至った模様だ。

GW開発のねらいについて、技術解説誌のポピュラー・メカニクスは、スターリンクの軍事利用を中国側が憂慮しての動きではないかと論じている。

記事によると中国は、スターリンクの衛星一つひとつの位置を追跡し把握したいと考えているという。

スペースXはロシアによる侵攻後まもなく、ウクライナに向けてスターリンクの利用を解放した。だが、結果として衛星網は、攻撃・偵察用無人機(ドローン)の操縦にも使われることとなった。

中国政府は、軍事利用の可能性を秘めた通信衛星コンステレーションについて、スペースXに一方的に掌握されることを嫌った可能性がある。

マスク氏は今年2月13日、「第3次世界大戦につながりかねない紛争の激化は認めるわけにはいかない」とツイートし、ドローンの操縦を目的とした通信を遮断したと発表した。

これとは別に、中国は俗に「グレート・ファイアーウォール」と呼ばれるシステムを構築し、国内のネット通信を一元的に監視している。検閲回避の抜け穴となることを嫌い、独自システムの開発に踏み切った可能性もありそうだ。