HPVワクチン「男性も打ちたい」 肛門がんも予防、国が議論始める

 女性の子宮頸(けい)がんを防ぐワクチンの積極的勧奨を、国が再開してから約1年が経つ。子宮頸がんの主な原因は性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染だ。ワクチンには男性の肛門(こうもん)がんなどを防ぐ効果もあるとされ、男性が接種する国も多い。日本でも、男性の定期接種化に向けた議論が始まった。(神宮司実玲、後藤一也)

「ちょっと大事な話があるんだよね」

 2021年夏、国際基督教大学の川上詩子さん(21)は、少し硬い表情で服部翼さん(20)に言った。2人は同じ大学に通い、付き合っていた。

 カフェに入ると、川上さんが切り出した。

 「HPVワクチンというワクチンがあって、子宮頸がんとかの予防になる。男性も打つことで性感染症を防げるし、自分をがんから守る効果もある。私も打つから、あなたもぜひ打ってほしい」

 「そんなワクチンがあるんだ」。服部さんは、初めてHPVワクチンという言葉を聞いた。子宮頸がんにもなじみがなかった。

 「ちょっと考えてみるね」。服部さんはその後、自分で調べたり、何度も川上さんと話したりして、ワクチンの効果を知った。

 ところが、女性は原則無料の定期接種となっているが、男性が打つ場合は全額自費で、計5万~6万円することに驚いた。「自分1人じゃ出せないな……」

https://www.asahi.com/sp/articles/ASR33558ZR2KUTFL00Q.html