ドリフト走行対策に苦悩 有名漫画の舞台、通行止め解除間近に

4月上旬に冬季通行止めが解除される栃木県那須塩原市塩原と矢板市下伊佐野をつなぐ県道塩原矢板線。路面には危険な走行とされる「ドリフト走行」の痕跡が複数見られ、昨年11月にはドリフト走行が原因とされるひき逃げ事件も発生、
市民からの通報も相次いでいる。一方、検問などを実施してきた那須塩原署、道路管理者の県大田原土木事務所ともに効果的な対策は見いだせておらず、頭を悩ませている。
タイヤを横滑りさせながら運転するドリフト走行は、車体を制御できなくなり事故につながる恐れがあるとされる危険な走行。
県道塩原矢板線は、山道で多くの急カーブがある複雑な路線で、「走り屋」を題材にした有名漫画の舞台にもなった。同署によると、路面にはタイヤ痕やガードレールの損傷などドリフト走行とみられる跡が散見されるが、事故の申告がなく、実態や被害を把握することが難しいという。
一方、同署には昨年6~11月、「金曜の夜にドリフト走行する車がいる」などとする市民の通報が相次いで寄せられた。
同署は以前から同線で取り締まりをしているほか、夏場には検問も実施。しかし、署員が立ち去ると走り屋が戻ってくるいたちごっこの様相を呈しているという。昨年11月20日未明には、ひき逃げ事件が発生。県外の男性がドリフト走行の末に、道路端にいた女性2人に衝突、逃走した。
同署は事故後、県大田原土木事務所と現地調査を実施。事故現場などを確認し、同署は走り屋が走行しづらくなるような路面の形状変更などの工夫を同事務所に提案した。
同事務所は、運転者の安全性を確保した上での効果的な対策を検討しているが、道幅が狭いなど場所によっては手を入れることが困難な場合もあるという。同事務所は「一般車両の快適な通行をどこまで制限してしまっていいのか」と頭を悩ませる。
現地調査に参加した同署の永吉俊博(ながよしとしひろ)交通総務課長(51)は「今後もできる限り検問やパトロールで対応しつつ、道路管理者と共にドリフト走行しづらい環境づくりをする」と話し、「通常の運転で通行する分には問題ない。地元住民も使う道なので、安全運転を心がけてほしい」と呼びかけている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c87ee852178d62d4817b283e5a122de8bc66f329