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殺人事件に至った事例もある

https://www.sankei.com/article/20150810-SZQUHPGN3ZJHBGBJKTKI6PPNPQ/
大阪府警のDV情報漏洩で運営休止に…シェルター、移転先求め調停申し立て
2015/8/10 22:09

 大阪府警河内長野署が6月、ドメスティックバイオレンス(DV)の加害男性に対し、妻が避難していた府南部の民間シェルター(一時保護施設)の住所を漏らしたため、施設の運営ができなくなったとして、施設側は10日、府に移転・再開に向けた支援や慰謝料などを求める調停を大阪簡裁に申し立てた。施設側の代理人によると、警察によるシェルターの住所漏洩(ろうえい)が発覚したケースは今回が初めてという。

 申し立てによると、男性は大阪地裁堺支部からDV防止法に基づく保護命令を受け、6月9日に同署を訪問。応対した署員が、妻の避難先の住所などが書かれた書類を机の上に放置したまま部屋を離れた。男性はそのすきに住所などを確認したとみられ、戻った際に「妻はここにいるのだな」と尋ねた。同署は直後に府女性相談センターを通じて妻に連絡し、その日のうちに別の場所へ移らせた。

 この施設はNPO法人代表の女性(70)が運営。DV被害に遭った女性や家族を守るため、施設や事務所の住所を非公開にしていた。施設側は「加害者に住所を知られては今後の被害者保護は難しい」と運営を休止。府警などに移転するための経済的支援を求めたが、府警からは口頭での謝罪があっただけで、現在地での運営再開を求めてきたという。

 府警生活安全部は「申し立て内容の詳細を確認した上で、適切に対応していきたい」としている。


「信用と実績、一日で崩れた」シェルター代表
 「被害者は無事でよかったが、私のシェルターは危険なまま…」。非公開にしていた住所が漏れた一時保護施設を運営するNPO法人代表の女性は、大阪府警などの対応に不満を募らせる。警察や自治体が、DVやストーカーの被害者情報を加害者側に漏らす失態が近年相次いでおり、防止策の徹底も急がれている。


 施設は、代表自身が夫のDVで子連れで逃げた経験から、平成10年に大阪府南部に開設。これまで府や和歌山県などの委託を受け、子連れの女性ら約350人を保護してきた。繁忙時はボランティアの手を借りることもあるが、大半は代表1人で運営してきたという。

 加害者に施設の所在地が知られると、インターネットなどで拡散される恐れもあり、委託先には住所秘匿を厳守するよう依頼してきた。しかし今回、府警のミスで漏洩が起きた。代表は「十数年築いてきた信用と実績が1日で崩れた」と憤る。

 神奈川県逗子市で24年に起きたストーカー殺人事件では、神奈川県警が23年に脅迫容疑で元交際相手の男を逮捕した際、被害女性から伝えないよう求められていた住所の一部を読み上げていた。さらに逗子市役所が調査会社に漏らした住所が元交際相手に伝わった翌日、女性は襲われた。

 また、奈良地検が24年、DVで離婚した元夫の弁護人に住所を隠さず開示し、元夫から手紙が届いたとして、女性が昨年11月、大阪地裁に国家賠償を求めて提訴。昨年6月には、兵庫県姫路市が、元夫からDVを受けていた女性の住民票を誤って元夫に交付する事態も起きた。


 府警は今回の漏洩発覚後、施設に防犯カメラを設置したが、代表は「現状では新たな受け入れはできない」と訴えている。