ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトの東側を制圧したもようだ。

 米シンクタンクの戦争研究所が指摘し、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」も8日に宣言した。ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、「別の都市への侵攻ルートを開きかねない」と完全撤退を否定。ただ、仮にバフムトが陥落した場合でも、ロシア軍は地上部隊が不十分と見積もられ、さらなる進軍に手詰まり感が漂う。

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 「チェスで番が回ってくるたびに自ら不利になるケースがあるが、敵(ロシア)をこの状況に追い込むよう全力を尽くしている」。ウクライナのシルスキー陸軍司令官は8日、バフムトを訪れ、抗戦の意図を明かした。

 シルスキー氏のバフムト訪問は過去2週間で4回目。陥落は不可避という観測が根強く、一部撤退が進行中と伝えられた中、余力があることを示唆した。米戦争研究所は6日、ウクライナ軍が消耗戦を仕掛けているという見方を公表。「防御的な市街戦で(精鋭部隊に)損害を与える好機」だと分析した。

 一方、ウクライナ軍が「戦略的撤退」に踏み切った後、ロシアがドネツク州全域の掌握に向けて作戦を加速させられるかは不透明だ。戦争研究所は7日、ワグネルなどの突撃部隊がバフムトで一定の成果を出したものの、その先への進軍に必要な装甲車などの機械化部隊が不十分である可能性が高いと推定した。

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