「魚は放流したら増える」は間違いの可能性 資源回復には漁獲制限が有効

各地で盛んに行われる「魚の放流」。資源量増加を目的として行われますが、実はそれが逆効果になってしまっているかもしれません。

サカナを放流するとサカナが減る?
我が国の海や川、湖で毎年行われている「魚の放流」。漁業組合や釣り愛好者団体などが主体となり、資源量を増やして漁獲高を向上させることを目指して実施されるこれらの放流が、実は「無駄であるどころか悪影響を与えている」とする驚きの説が発表され、大きな話題となっています。

先日、北海道立総合研究機構とノースカロライナ大学などの共同研究チームが、人工授精で産まれた魚の放流が川の生態系にどのような影響を与えているのかを、水産上の重要魚種でわが国でもよく放流が行われるサクラマス(ヤマメ)について調査しました。
その結果なんと、放流が大規模に行われている河川ほど、すべての種類の魚の数が減る傾向があることが判明したのです。

環境収容力
サクラマスのように、川での数年かけて生育する魚については、川の「環境収容力」という許容量があります。これは言いかえると、その魚を養うために必要な餌の量や棲家が得られるための生態系の規模といったものです。
もし、この環境収容力を超えるほどの大規模な放流を行ってしまうと、放流された魚同士で餌や棲家の奪い合いが起こります。結果として、魚同士の過剰な生存競争が起きてしまうのです。

そうなると最終的に生態系そのものが崩れてしまい、その魚のみならず、すべての種類の魚の減少につながってしまいます。今回の実験によって得られた結果は、このことを強く示唆するものです。

今回の結果を受けて研究チームは、放流を行う場合はその効果をしっかり測定し、環境収容力を踏まえた放流を行うべきではないかと提言しています。
またそれと合わせ、河川の環境をより自然な状態に戻すなど「環境収容力」そのものを向上させる努力を行うべきと話しています。

続く
https://article.yahoo.co.jp/detail/e8131589c676302bac25910147f9e6e2d9afab07