梅原先生:
VVVFインバータ制御装置の中には、半導体というものが入っています。コンピューターなどでおなじみですけれども、半導体というのは、温度が低いときには電気を通さなくて、温度が上がると電気を通しやすくなるようなものだから、「半」がついて「半導体」ですね。ここに使われている装置の中には、高速で、すごいスピードで、電気を入れたり切ったりしながら電圧を上げたり周波数を上げたりする、スイッチング素子という半導体が入っているんです。

電車に使われているスイッチング素子には大きく2つあって、だいたい初期のVVVFインバータ制御装置の電車、1980年代から90年代に作られた電車には、GTO、ゲートターンオフの略ですけど、そのGTOサイリスタというのが使われているんです。これはとても大きな電流でも耐えられて、しかも頑丈ですけれども、すごく大きな高周波音を出すので、ウーンという、少しうなるような音がして響くんですね。それが好きという人も、もちろん多いです。

それから、ちょっと効率が悪くて、少し電気をくうし熱が出るんです。それがやっぱりよろしくないということで、2000年ぐらいから一般的になったのが、IGBTというスイッチング素子、これは絶縁ゲート・バイポーラトランジスタというんです。作動するときの高周波音も少なくなりましたし、効率も上がって熱もあまり出さなくなったということで、名古屋市の地下鉄もそうですし、新幹線もそうですし、これがほぼ一般的になったんですね。

そうきくん:
はい。

梅原先生:
それで名古屋市の地下鉄の電車ですけれど、みずのくんが言うとおり、GTOサイリスタのついたVVVFインバータ制御装置をつけた電車はまだありまして、東山線を走っている5050形。

そうきくん:
はい、知ってます。