「祖国愛を教えてやろう」 ロシア歌姫、政権に皮肉
2023年03月12日07時15分

 ロシアで絶大な人気を誇ったものの、ウクライナ侵攻に伴い国外に脱出した女性シンガー・ソングライター、ゼムフィラさん(46)が10日、新曲を発表した。「祖国の愛し方を教えてやろう。靴底へのキスの仕方を」と歌い出すパンクロック。政権による愛国主義の押し付けを強く皮肉ったとみられる。

 タイトルは、暗号を思わせるローマ字の羅列「PODNHA」。これをロシア語で使用されるキリル文字として見ると「祖国」と解読できる。曲にはさりげなくロシア国歌のメロディーも織り交ぜられている。

 プーチン大統領は最近、自ら起こした侵略戦争を「祖国防衛」にすり替えてロシア国民の危機感をあおり、長期化に備え始めた。今回の曲は、戦争支持は本物の祖国愛ではないと警鐘を鳴らしているかのようだ。

 ゼムフィラさんは昨年3月、「撃たないで」と題した過去の楽曲に、ウクライナの戦火やロシアの反戦デモの映像を重ね合わせた動画をユーチューブで公表。その後、すべての楽曲が母国のテレビやラジオで放送禁止となった。今年2月に法務省から「外国エージェント(スパイ)」に認定されており、新曲はそれ以来となる。

https://www.jiji.com/sp/article?k=2023031100383&g=int