日本初のeスポーツ専門高校が不登校の子供たちを惹きつける「納得の理由」

3/12(日) 9:30配信

2022年に開校した日本初のeスポーツ専門高校には、それまで不登校だった子供たちが多く入学した。親ではなく、彼らが自ら通うことを選んだという同校の魅力を、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が取材した。

■不登校の子供を学校に呼び戻す「モデルケース」
ヨシダ・ワタルはもう限界だった。学校に戻るつもりはなかった。

彼は教師たちが嫌いで、校則にも苛立っていたし、授業には退屈していた。日本でパンデミックによる学校閉鎖が終わり、対面授業が復活した2020年の半ば頃、彼は家にこもったまま一日中ゲームをすることに決めた。

「『学校からは何も得るものがない』と言うんです」と話すのは、母のヨシダ・カエだ。

教室を離れて1年以上が経過した現在、16歳のワタルは再び学校に通っている。だが、普通の学校ではない。彼を含む20名ほどのティーンエイジャーたちは、2022年に東京で開校した日本初のeスポーツ専門高校、「eスポーツ高等学院」の第一期生となったのだ。

一般の授業科目に加え、ゲームの集中実習時間を設けているこの学校は、世界中で拡大するプロゲーマーの需要に応える目的で設立された。

しかし教育者たちは、それよりももっと大事なものをこの場所に見出すこととなった。すなわち、ワタルのような学生たちを学校へと呼び戻すモデルケースだ。

■eスポーツ学校に対する親たちの不安
しかし、eスポーツ高等学院の場合、生徒のほとんどが自らこの学校に通うことを選んでいる。

子供たちは、そこが安息の地になるかもしれないと考える。だが親たちにとって、これは最後の手段だ。思いがけず不登校の子供たちを惹きつけていると知ったeスポーツ高等学院は、親たちの不安解消のために尽力している。

2022年2月の説明会では、同校の授業計画が国の教育水準を満たしていることをパワーポイントを使って説明した。役員たちは、ゲーム依存症やプロゲーマーのキャリア展望など、保護者が抱えるさまざまな不安に答えていった。

2ヵ月後の4月、同校の入学式には、22人の少年たちが黒いスーツの保護者らに付き添われて参列した。

会場となったのは同校のゲーム専用校舎で、渋谷の繁華街に位置するビルの8階にある近未来的な空間だった。ガラスの床と緑のネオン管が走る天井に囲まれ、半ば宇宙船、半ば電子機器のマザーボードといった趣だ。

式典は、生徒と保護者のそれぞれを改めて安心させようとするものだった。開校に際し、元文部科学大臣からの祝電が読み上げられた。ぎこちない動きのバーチャル・アバター姿で現れた学院長が巨大なスクリーンからスピーチし、続けて生徒たちのプログラミング実習を指導した。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/ac4c7f3964a01a3c993e749e56ff80411792b42a