3/10(金) 22:52配信 シネマトゥデイ

 第46回日本アカデミー賞授賞式が10日、港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、映画『ある男』が最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(妻夫木聡)、最優秀助演男優賞(窪田正孝)、最優秀助演女優賞(安藤サクラ)、最優秀監督賞(石川慶)など最多8部門を総なめにした。

 芥川賞作家・平野啓一郎の小説を原作にした同作は、死後に別人と判明した男の身元調査を依頼された弁護士・城戸章良(妻夫木)が、他人として生きた男の真実を追うミステリー。『蜜蜂と遠雷』『愚行録』の石川監督がメガホンを取った。

 最優秀作品賞が発表されると、監督やキャストはがっちりと握手で喜びを分かち合い、壇上へ。この日、最優秀監督賞と最優秀編集賞も受賞した石川監督は「本当にありがとうございます。もう言うことはすべて言ってしまったのですが、難しい題材をこうやってチャレンジさせていただいた(配給の)松竹の方々にもありがとうございます。原作を預けていただいた平野さんに最後にお礼を申し上げたいと思います」と感謝した。

 最優秀主演男優賞にも輝いた妻夫木は、石川監督の長編映画監督デビュー作『愚行録』(2016)でも主演を務めた経験があり、「本当にうれしいです。監督とは監督のデビュー作から一緒で……」と話し始めるが、感情を抑えきれずに言葉を詰まらせる一幕も。「本当にごめんなさい」と気を取り直すと、「僕は一番、彼の才能を間近で見ていた自負があるので、こうやって認めてくださったというのは本当にうれしいです。おめでとうございます」と監督を祝福した。

 「大祐」という人物に成りすまして生きた“ある男”を演じて、最優秀助演男優賞にも選ばれた窪田は「この作品に関われて、このチームの一員になれたことが心からうれしくて。人生一瞬しかない中で、このメンバーでその一瞬を謳歌できるってこれからのずっと財産になると思うし、こういう縁を少しずつ広げて、また映画をみんなで盛り上げていきたいと思います」と決意を新たにした。

 亡き夫の身元調査を依頼する女性にふんし、最優秀助演女優賞を獲得した安藤も「これ以上のものはない」と喜び。本物の「大祐」の元彼女役で、優秀助演女優賞を受賞していた清野菜名は「自分はこんなすてきな作品に参加できて、本当にラッキーだなと思っております。わたしも頑張っていきます」と目を潤ませながら語った。(編集部・中山雄一朗)
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